小型武器問題とは
2001年
ニューヨーク小型武器会議 |
2004-2005年
JANSAの設立団体としての活動 |
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2001年7月にニューヨークの国連本部にて、国連小型武器会議(正式名:小型武器非合法取引のあらゆる側面に関する国際会議)が開かれ、インターバンドから事務局長(当時)の松浦香恵氏と瀬谷ルミ子氏が参加しました。
今回の会議では、非合法取引に焦点を絞りながらも、武器製造・流通・回収・破壊にまで規制の網を広げ包括的に小型武器に関して協議されました。会議最終日に「行動計画」が採択されるまでには、その細かな文言やどこまでの措置を盛り込むべきなのかについての様々な主張が各国の間でなされました。その結果、国や製造番号を武器に(マーキング)し製造元を明確化すること、武器製造を管理し仲介人(ブローカー)の行動を規制する法を整備すること、回収された武器は全て破壊をすることなどが行動計画に盛り込まれました。
しかし、今回の会議の最大の争点は2点ありました。
@まず第1に、自衛手段としての市民の武器所有を法的に規制すること、
A第2に非政府組織への武器への輸出を禁止し、取引は政府間または政府に正当に認知された組織によってのみ行う、というものであります。
この2点どちらに対しても米国は強く項目の削除を求め、項目に盛り込むことを推進するEUなどとの対立の構図が生まれました。第1の点に関しては、米国は自衛手段としての市民の武器所有を認める考えから、民間人による小型武器所有は憲法上の権利だとして頑なにこの項目を行動計画に盛り込むことを反対しました。
第2の非政府組織(反政府組織、ゲリラなど)への武器の輸出に関しては、米国はクルドの反イラク集団を支援し武器を輸出している背景があるために、それが表向きには、「独裁国家と戦う人々に支援をする必要がある。」という主張を繰り返しました。
また、アラブ諸国も、イスラエルに対立するパレスチナに武器支援などをしているため、非政府組織への輸出規制には反対の立場を表明しました。最終日には採択された行動計画には、法的拘束力はなく政治的な文書がいつのまにか国際的な合意になるケースが多いため、対立する同士はどちらも譲らず、結局はこの2点を盛り込むことなく、その他の点での緩やかな合意がされました。
会議の開催中、上に述べた非公開の閣僚レベルでの会合として並行して、NGOを中心とする市民社会のセミナーやミーティングが数多く行われました。NGOミーティングをまとめていたのはIANSA(International Action Network for Small Arms)と呼ばれる世界70カ国から320団体が参加する小型武器ネットワーク組織です。
NGOは会議と並行して、「小型武器と女性」、「小型武器と開発」、「小型武器と子供」など、トピックごとのテーマに、そして、アジア、アフリカ、南米などの地域ごとのテーマに分けて、連日、セミナーを行い意見交換を行いました。また、ニュージランドなどの一部の国の代表団にはNGO担当がおり、本来非公開の閣僚会議の内容を傍聴し、NGO内のミーティングにその議事内容を報告する役割を果たしていた。それに基づき、NGOは会議の文書変更内容、各国の意見、主張の対立内容を逐一確認し、ロビイング戦略を練りました。
また、今回の会議では、NGO独自のプログラムに加え、日程の終盤である7月16日にNGOが通常非公開の閣僚レベルの会合においてそれぞれの意見のプレゼンテーションを行う機会があり、インターバンドを含むおよそ42団体がそれぞれ5−6分ほどの発表を行いました。テーマごとにNGOを分類し、「小型武器が人類に及ぼす被害」「社会的弱者(女性・子供・障害者)」「共同体と開発に対する影響」「国内規制と国際的規定」「文書の施行とフォローアップ」の順番にそれぞれの主張を行いました。
さらに、今回の会議のテーマである小型武器の特徴を反映したのが、会議に参加をしたのが、会議に参加をしたのが市民社会の中で、米国内の銃規制支持派と銃規制反対派が顕著な意見の対立を示したことです。
米国内銃規制支持派は、アメリカ国内の犯罪により子供を銃によって亡くした親などによってつくられた市民団体であり、紛争地で小型武器を規制する推進する国際NGOとともに意見を主張しました。
その一方、銃規制反対派の集団は、全米ライフル協会であり、こちらはカナダ、ドイツなどのスポーツライフル協会などのスポーツライフル協会と意見をともにし、銃を保持する権利を主張しました。被害者の経験を語る国内・国際の銃規制支持派市民団体に対して、銃規制反対派「悪いのは人間ではなく銃だという世論が出来てしまうのは困る」、「全米で年に250万回自己防衛のために使われるのは合法だ」といった論理で規制派に対抗しました。
しかし、ここまで矛盾が生じたのは、武力紛争と小型武器の関連から国際的な議論と、米国の銃規制の議論が同時に行われた点にありました。先に述べましたように、小型武器は紛争地といういわゆる「日常性」と警察や自己防衛という「日常」の治安維持のために双方をまたいで流通しているために、その解決策を考える際の議論にも明確な線を引くことが困難になるという課題を内包しているといえます。
今回の会議の成果として、当初予定していた今回の小型武器会議のフォローアップ会議を、2006年に行うことが最終的に盛り込まれれば、今後につなげることができました。
今回の会議を無駄にしないためにも、小型武器の規制に向かって2006年までにどれだけ各国政府やNGOがプレッシャーをかけるかが今後の大きな課題です。 日本は武器輸出を禁じてきたわけですが、日本の最新技術が兵器産業に貢献をしているという側面もあります。今回の会議では、EUは一致団結をした一方、日本は小型武器を規制する動きをとりながらも、EUと米国の対立の中でコーディネートにまわっていました。
その一方、アジアの小型武器会議に積極的に取り組むために、日本政府は2002年の初旬に日本でアジア諸国とともに小型武器会議を開催する動きでいます。 小型武器問題に取り組むにあたり、透明性の確保、不正取引・市場の規制、武器の輸出入措置、余剰武器の破壊、武装解除のプログラムなど、様々な切り口からアプローチが存在します。 そのため、それぞれのアクターが取り組み可能な領域をカバーしつつ補完しあうことが重要になります。
日本からは小型武器問題に取り組むNGOとして、インターバンドは、今回の会議にも参加したSASA Net(South Asia Small Arms Network: 南アジア小型武器ネットワーク)や。その他の太平洋諸国のNGOとのネットワーク強化し、地域レベルでの活動の強化を進めています。インターバンドは、アジアを代表するNGO・ANFREL(Asian Network for Flee Elections)と共に、98年以来アジア諸国の民主化プロセスに携わってきました。Good Governance(良い統治)を実現するためにも、市民社会の安全を確保する上でも、「銃」にまつわる諸問題への取り組みは、民主化を実現する上で避けては通れない最重要課題であります。
日常レベルでテロリズムの被害にあう南アジアの国々、ブラックマーケットで銃が簡単に手に入る東南アジア諸国、銃密輸反対運動に関わることで、時には命を脅かされてしまう太平洋諸国。2002年2月に開催されるフォローアップミーティングでは、アジア・太平洋諸国の諸問題の解決のため、より具体的な進言を行うことがインターバンドの課題であります。